脈診流の鍼灸とは?
鍼灸の中には、脈の速さや強さから症状を捉えて診断する脈診(みゃくしん)という方法があります。脈診は豊富な知識と繊細な技術を要する難しい手法です。
今回は、当店で行っている脈診を取り入れた「脈診流の鍼灸」の強みや、鍼灸のアプローチ法について詳しく解説していきます。
鍼灸における流派の違い
鍼灸と一言でいっても、使う道具から手法までさまざまな種類があります。
例えばラーメン屋に行ったとしても、そこには醤油や味噌、とんこつ、塩などいろいろな種類のスープがありますよね。さらに言えば醤油味だとしても、魚介系や動物系などもっと細かく分類できます。鍼灸もこれと同じで、流派によって刺激や感じ方がそれぞれ異なります。
当店の鍼灸は、脈診の診断に基づいて施術を行う脈診流の鍼灸です。例えるなら「味は薄めだけどしっかり出汁の効いたラーメン」といえばイメージしやすいかもしれません。
もっと詳しい話をすると、鍼灸は次の3つの系統に大別できます。
- 中国で確立された中医学に基づく鍼灸
- 中医学の流れは汲みつつ、日本人に合わせて独自の進化を遂げた鍼灸
- 筋肉や神経に即して刺激を与える現代的な鍼灸
当店の脈診流は②に当てはまり、施術者の力量が試される繊細な技術となります。
脈診流の鍼灸とは
脈診流とは両手首の脈から経絡の状態を読み取り、五臓六腑のどこに疲れが出ているかを診断する手法です。
当店は経絡治療(けいらくちりょう)を行う際に、この脈診を用いて症状の原因や身体のバランスを検査します。
経絡治療とは
わたしたちの身体には「気・血・水」の通り道である経絡と、経絡と身体をつなぐ経穴(ツボ)が全身に張り巡らされています。
経絡に滞りが生じると、経絡を通じて臓腑に悪影響が及ぼされ、病気が発症するというのが東洋医学の考えです。
東洋医学ではこの経絡のメカニズムを利用し、鍼とお灸でツボに刺激を与えることで臓腑を活性化させ、不調の改善を目指します。
脈診とは
脈診は、東洋医学の伝統的なカウンセリング法である「四診法」の中にある「切診」のひとつです。指先を研ぎ澄ませて脈を捉え、経絡上のトラブルを読み取って診断に活かします。
当店はこの脈診によりお客様一人ひとりのお身体の状態を把握し、オーダーメイドの施術法を組み立てていきます。
脈診の方法
脈をとるという行為自体は、心拍数を測るために西洋医学でも行われています。
しかし、東洋医学では脈は「気・血・水」の状態を診断するために用いるものです。そのため脈診は人さし指、中指、薬指の3本の指を使い、左右の手首の6ヶ所から脈を同時にみて違いを比較します。
脈の状態は脈の速さやリズム、力強さや質など、さまざまな観点から相対的に判断します。これは東洋医学に基づく鍼灸の、膨大な経験と実績を積んだ当店だからこそなせる業です。
脈診でわかること
脈には正常な身体の状態を反映していると考えられる「平脈」と、病気のときや人間が本来持っている免疫力や自然治癒力が衰えているときに見られる「病脈」の2種類があります。
病脈にもいくつか種類があり、「脈に微細な振動を感じると血の巡りが悪い」といったように、脈の様子から不調の原因を探ることも可能です。
脈診流は鍼灸の施術により、病脈を平脈へ改善することを目標としています。
脈は流動的に変化するものなので、施術中にも適宜脈診を行いながら施術の方向性を微調整していきます。
脈診流鍼灸のメリット
①未病に力を発揮する
東洋医学には未病(みびょう)という言葉があります。
これは読んで字のごとく、未だ病気ではない状態ですが、かといって健康なわけでもありません。つまり病気が起こりそうな不安定な身体の状態を意味します。
西洋医学では病気と診断されていなければ治療をすることができませんが、東洋医学であれば未病に対してもアプローチをすることが可能です。
脈診流は、脈診により病気が起こる予兆をいち早く察知して、鍼灸で改善へと導いていきます。
②原因不明の症状にも対応
「病院で検査しても異常がないにもかかわらず、なんとなく不調が続く」
このような経験がある人は意外と多いと思います。この原因がわからないけれどツライ症状がある状態を、東洋医学では「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といいます。
東洋医学の長い歴史上、不定愁訴は病脈を平脈へと改善させることで症状が軽減されることがわかっています。つまり、脈診流の鍼灸で適切な診断と施術を行えば、原因不明といわれる症状も改善させることができるのです。
③一人ひとりに合わせたがアプローチできる
脈の強さやリズムなどは人によりそれぞれ異なります。
当店で行う脈診は、指先から的確に脈の情報を読み取り、お客様の体質やタイプを見極めていきます。施術をすることによって脈の打ち方が変化することもあるので、施術中にも脈をみさせていただくことがございます。
このように、常に一人ひとりの脈を正確に把握することにより、病脈を平脈へと促して症状を改善へと導いていきます。