身体がダルいときの東洋医学的な対処法
身体がダルいといった症状は、病気ではないため対処に悩む方も多いはずです。しかし、東洋医学的にいわせてもらえば身体がダルくなるには原因があり、必ず解消法もあります。
そこで今回は、身体のダルさを解消する東洋医学的な対処法について、詳しく解説していきます。
東洋医学はパワーをコントロールできる
西洋医学を扱う病院では、身体がダルい状態を慢性疲労症候群やうつ病と診断します。しかし、治療は薬を使った対症療法が中心のため、根本からダルさを改善させることはできません。
一方、東洋医学は身体がダルいといった、慢性症状の改善を得意としています。なぜなら東洋医学は、薬に頼ることなく個々に合わせて予防と根本改善を目指す、『機能性医学』だからです。
身体のダルさを東洋医学的にいうと、パワーが湧かずに元気がない状態です。また、東洋医学では、病気は気が病むことを意味します。この『気』をコントロールできるのが、まさに東洋医学なのです。
台風や低気圧で体がダルくなる理由
東洋医学には、身体のエネルギー不足である『気虚(ききょ)』と、湿度の高い時期に体調不良が起こる『湿邪』という状態があります。
気虚とは、元気が虚(むな)しいという状態です。気虚の場合、朝に調子が悪くなることが多く、動き出すと血液が循環して活動しやすくなります。東洋医学では、このような巡りを『気・血・水』で示します。
湿邪とは、湿気が外から体内に入ってきて、悪さを起こしている状態です。風邪は風邪(ふうじゃ)と書き、外からウイルスや細菌が入ってくることを意味します。台風や低気圧は湿気に関係しているため、身体がダルくなって体調不良を起こす方も多くなるのです。
身体がダルいときはツボ押しが効果的
気虚と湿邪の対処法は、ツボ・漢方・食事・生活・睡眠の5つです。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
①ツボ
まず1つ目はツボを押すことです。
気虚に効くツボ
気虚に効くツボは、全部で3つあります。
下腹部にあるツボの『気海(きかい)』は、気力が沸きます。おへそにある『帰来(きらい)』は、生理痛を緩和させるツボです。腕にある『孔最(こうさい)』は、呼吸器系に作用して咳などを鎮めてくれます。
湿邪に効くツボ
湿邪に効くツボは、4つあります。
おへそにある『水分(すいぶん)』は、胃腸症状に効果的です。腹部にある『水道(すいどう)』は、冷え性によく効きます。
膝にある『足三里(あしさんり)』と、みぞおちにある『中完(ちゅうかん)』は、湿気で弱った消火器系を強くします。
気虚と湿邪をお持ちの方は食欲もなくなりますので、両方のツボを押すのがオススメです。
台風や低気圧で身体がダルくなる人は漢方の五苓散がおすすめ
②漢方
2つ目の対処法は漢方です。
気虚の場合は、元気を補って胃腸の消化・吸収機能を整え、疲れを改善する『補中益気湯(ほちゅうえきとう)』が効果を発揮します。
湿邪の場合は、水分の低下を改善する『五苓散(ごれいさん)』が有効です。五苓散は湿気によって起こる不調をすべて改善できるため、台風や低気圧で体調が悪くなる方はぜひお試しください。
また、消火器系が弱く手足の末端が冷えやすい方は『人参湯(にんじんとう)』などが向いています。
玄米でパワーチャージ
③食事
3つ目の対処法は食事です。
気虚の場合は、玄米を食べることをオススメしています。
玄米の食べ方については、当チャンネルで紹介した『玄米のおいしい炊き方と意外な注意点』を参考にしてください。
【動画解説】玄米食の意外な注意点とは?
白米は水に入れると腐りますが、玄米は水に入れると発芽します。これは玄米が生きているためです。生きているものを頂くと生命力がもらえるので、力が湧いてきます。
同様に、小魚もパワーチャージにオススメです。刺身は切り身ですが、小魚は一つひとつが個体のため、たくさんの命をもらえます。海藻や豆類、発芽したものなど、丸ごと食せるものを選ぶのもポイントです。
東洋医学の視点から言うと、肉は力をつける食材としてあまりオススメできません。歴史的に見ると、昔の日本人は鶏肉を食べますが、それ以外の肉はほとんど食べていません。
東洋医学で『腐』という字は、内臓を表す『府』によって『肉』が腐ると勉強します。もし肉を食べるなら、日本人が昔から食していた鶏肉を選びましょう。
湿邪の場合は、水分を取りすぎないことが重要です。無理やり飲むと身体に水が溜まって危険なので、のどが渇いたときだけ飲むようにしましょう。
消化器系や胃腸系を高めるならば、甘みをオススメします。選ぶなら、さつまいもやかぼちゃなどの自然由来のものがいいです。白砂糖は胃を弱らし、身体を冷やすので白砂糖の入ったお菓子は控えましょう。家で使う砂糖はてんさい糖やきび砂糖を推奨しています。
食べないと元気が出ないのは間違い!
④生活習慣
4つ目の対処法は、生活習慣の見直しです。
気虚の場合はエネルギー不足のため、無理をしないよう心がけましょう。気虚によく効くツボが集中している下腹部を温めることが大切です。また、腹式呼吸も効果があります。通常、呼吸は胸式呼吸のため、腹式呼吸でお腹を意識すると腹部にエネルギーが溜まってパワーが出ます。
湿邪の場合は、小食が必須です。よく食べないと元気が出ないと言われていますが、これは違います。
当グループのYouTubeチャンネルの動画で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
食べるときのポイントは、『よく噛む』ことです。噛むことで消化の際、内臓に負担をかけないようにします。
食べ物を吸収するにはエネルギーが必要で、たくさん食べると胃に負担をかけます。「腹八分目に医者でいらず」という言葉は、このメカニズムの裏付けです。
午前1時から午前3時の睡眠が重要な理由
⑤睡眠
5つ目の対処法は、正しい睡眠をとることです。とくに気虚の場合、寝ている間に身体が充填されます。
人間の身体は、日中エネルギーを消費し、寝ている間に充電をするサイクルのくり返しです。WHO(世界保健機構)でも提唱しているように、睡眠時間は6時間から9時間が最適といわれています。6時間以下でも9時間以上でも、統計学的に寿命は縮まるでしょう。
夢を見る浅い眠りの『レム睡眠』と深い眠りの『ノンレム睡眠』のサイクルも重要です。浅い眠りで起きれば身体は軽く感じますが、深い眠りで起きれば身体に負担がかかります。
ノンレム睡眠の周期は1時間半のため、6時間〜7.5時間の睡眠がオススメです。夜12時に寝たら朝7時に起きると、周期に合わせて起きることができます。
睡眠不足は身体に負担をかけるため、睡眠時間はしっかり確保しましょう。
また、寝る時間も重要になります。東洋医学では、午前1時から午前3時までは血液を浄化する時間です。この時間に起きていると、血液がドロドロになり汚れてしまいます。
ちなみに、湿邪の場合は睡眠で対処するのは難しいです。
身体のダルさは東洋医学で対処を!
身体がダルいといっても、人により症状や原因は異なります。気虚や湿邪など、自分の身体の状態を見極め、東洋医学的な対処をすることが大切です。
東洋医学的な対処法は、ツボ・漢方・食事・生活・睡眠の5つあります。慢性的な身体のダルさでお悩みの方は、ぜひ東洋医学専門の東洋はり灸院までご相談ください。