東洋医学と西洋医学について
当店に来られるお客様から、「病院に通ってもなかなか症状が改善されない」というお声をよくいただきます。
病院での治療は基本的に西洋医学に基づいて行われており、当店の東洋医学に則った鍼灸とは対極にあるものです。
そこで今回は東洋医学と西洋医学の違いについて、それぞれの考え方やメリットをわかりやすく解説していきます。
東洋医学と西洋医学の違い
東洋医学と西洋医学は文字でも「東」と「西」で表されるように、病気に対するアプローチ法も対照的です。
2つの違いを例えていうなら、やじろべえの感覚とよく似ています。
やじろべえは動き始めこそ均等にバランスを取っていますが、揺れが大きくなると最終的には傾いてパタンと倒れてしまいますよね。
この倒れてしまったやじろべえを何とかしようとするのが西洋医学で、倒れそうなときに倒れないように策を打てるのが東洋医学なのです。
この2つの考え方について、もう少し詳しく見ていきましょう。
西洋医学の病気に対する考え方
西洋医学の場合、肩が痛ければ整形外科でレントゲンなどを撮って検査を行い、痛み止めの処方やリハビリなどの理学療法を受けるのが一般的です。
頭痛を訴えれば内科や脳神経外科を受診し、CTなどの画像診断に異常がなければ鎮痛剤を処方されて終わりでしょう。
このように、西洋医学は今痛む部位を診て、症状を取り除くことが治療の中心となります。
東洋医学の病気に対する考え方
一方、東洋医学は病気が出たら何とかしようとするのではなく、症状が出る前に対処しようと考えます。これは「未病」と呼ばれる、東洋医学の特徴的な考え方のひとつです。
例えば仕事を連日頑張って疲れてしまっても、その段階ではまだ病気だとは診断されないですよね。でも疲れがたまった状態が続くと、病気につながる恐れがあります。
この病気になる前段階のうちに、身体の機能を向上させて良い方向に持っていくのが東洋医学の真骨頂です。
また、症状が出てしまってからアプローチをする場合、東洋医学は病気そのものではなくまず病人をみます。なぜなら、肩が痛いからといって根本の原因は肩にあるとは限らないからです。
肩が痛い人は必ずといっていいほど、冷え性や生理痛などその他の不調も抱えています。病気の背景にはその人の体質や生活習慣なども大きく関わっているため、東洋医学では全身をみながら不調の原因を究明し、施術に臨むのが基本となります。
西洋医学の得意分野
西洋医学は画像診断による検査や外傷、救命救急など、形が変わってしまうものに対して対処することに優れています。例えば、骨折や心臓病などは西洋医学がバツグンに効果を発揮し、治療は投薬や手術がメインとなります。
ただし西洋医学の場合、手術による身体的負担や後遺症、薬の副作用などのリスクが常に隣り合わせにあることを忘れてはいけません。
東洋医学の得意分野
東洋医学の場合、西洋医学とは真逆で慢性疾患や不定愁訴と呼ばれる原因不明の症状に力を発揮します。これは東洋医学が個々の体質を見極め、不調の原因を突き止めるのが得意な医学だからです。
外傷や疾患そのものに対してのアプローチとなると西洋医学よりは劣ってしまいますが、手術の術後ケアなどは東洋医学の方が向いています。さらに東洋医学は施術による身体への負担も少なく、副作用のリスクもないため安心です。
東洋医学と西洋医学を併用するメリット
このように両者の違いを挙げると、「じゃあどちらを選べばいいの?」と悩んでしまうかもしれません。
しかし、東洋医学と西洋医学はどちらが優れているということはなく、それぞれに得意不得意や相性があるのです。そのため症状に合わせて臨機応変に併用することが、症状改善への近道だと当店は考えています。
実例として、次のようなエピソードをご紹介します。
股関節に人工関節を入れる手術を行った方が、リハビリと併用して当店で鍼灸を受けていました。その方は改善が非常に早かったそうで、病院の担当医にも驚かれたそうです。
ほかにも、粘液水腫という病気を患い、手術を控えているお客様がいらっしゃいました。でも、白血球の数値が低いため手術することが難しいと言われて悩んでいたそうです。
ちょうどそのときテレビで東洋医学の特集をしていて、鍼で免疫力がアップすると知り、何とかならないかと当店を受診されました。
その方は当店で2回施術を受けられた後、手術のための再チェックをしたところ、なんと規定の合格ラインをかなり上回る白血球の数値となったのです。
このように、東洋医学と西洋医学を併用することは、お客様にとってもメリットだらけだと思います。
両者のよいところをかけ合わせ、不足は補いつつ不調と向き合うことが、症状改善へのいちばんの近道です。
現代は「病気を治すなら西洋医学(病院)で」という意識が未だ根強いですが、ぜひ東洋医学の鍼灸も選択肢のひとつに入れてくださることを願っています。